日本と世界の平和と発展に資する名誉センター長 明石 康(元国連事務次長)このたび、名城大学「アジア研究センター」が改組され、新たに「インターナショナル教育・研究センター」が発足したことは誠に時宜を得たことと喜びたい。わが国全体としてもわが名城大学においても、もっと全世界を視野においた活動をこれから展開していくことは極めて重要なことである。

今、世界は歴史的な転換点にある。ロシアのウクライナ侵攻は国際秩序を崩壊するものであり、それに加えて日米、日中、動揺するアジアとアフリカ地域の問題、貧富の格差、テロやその他の紛争など世界の問題は困難を深めるばかりである。新型コロナウィルスによるパンデミックや地球全体の気候変動などについても真の解決策を見出すことは至難の業である。

私たちの前に立ちふさがる政治、外交、経済、文化や科学について望ましい未来を考え、可能な選択肢を選び、それに達しようとする人々と互いに思いを語り合い、問題解決の努力をしていくことが必要である。

わが国は自国の小さな国益だけを求めて進むのではなく、人類や地球のよりよい未来を考えるとともに、その一歩一歩の実現を目指していきたいものだ。内向きの日本の利益だけでなく、より大きなアジアと世界に貢献できる外向きの国柄とそこで有益な奉仕と貢献ができる、より柔軟でかつしなやかな、真に国際的な視野をもつ若者を育てることが、大学の中心的な使命である。

多くの留学生が学ぶ大学はよき相互理解の場であり、留学生に対する教育や配慮、国際的な共同調査、研究支援を行い、学術研究を含めて多面的に世界と交流を深めることが肝要である。名城大学「インターナショナル教育・研究センター」が日本と世界の平和と発展に資するものとなることを心から祈りたい。